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第18話

どうしてまたその質問?

霧島弥生はノートパソコンに向かい、何事もなかったかのように画面を見ながら、淡々と説明した。「昨日は飲みたくなかっただけで、今日は体調も良くなって、飲まなくても大丈夫になっただけよ」

彼女の落ち着いた様子に、宮崎瑛介は唇をすぼめた。「そうか?じゃ、報告書はどういうことだ?」

マウスをスクロールする手が、「報告書」という言葉を聞いて止まった。

霧島弥生は自分が聞き間違えたかと思った。

しかし、彼の近くに聞こえる呼吸声は、今彼がはっきりとその言葉を言ったことを伝えた。

宮崎瑛介は気づいた。

彼女は「報告書」と言う言葉を聞いた瞬間、手を止めた。

その反応に、彼は思わず目を細めさせた。

彼女は何かを隠している。

しばらくして、霧島弥生はようやく自分の感情を整理し、彼を見て、怪訝な面持ちをしている。

「報告書って何?」

宮崎瑛介は黙って彼女を見つめていた。

彼女は完璧に演じていた。目や表情、声の調子もすべて正常で、普通に話しているかのようだ。

もし宮崎瑛介が彼女の先程の反応を見ていなかったら、完全に騙されていたかもしれない。

彼は彼女をじっと見据え、鋭い目で、「こっちが聞いているんだ。あれは何の報告書だ?」

それを聞いて、霧島弥生は一瞬動揺した。「確かにそっちの質問だけど、報告書ってなにかはあまりよくわからないわ」

最初に、霧島弥生は報告書と言う言葉を聞いて驚いた。

もしかして彼がその報告書を発見したのではないかと。

彼女が妊娠していることを知っているのではないかと。

しかしすぐに、霧島弥生は再び冷静になった。

霧島家が破綻して、彼女は甘やかされて育ったお嬢さんから、皆が霧島秘書と丁寧に呼ぶ今まで、さんざん苦労を経てきた。

宮崎グループと協力している企業の社長に会っても、彼女は丁寧にあいさつされるようになった。

これは単に、彼女が宮崎瑛介の妻だからというだけでなく、人々が彼女の能力を認めているからだ。

この2年間、彼女は以前とは全く異なる人間に変わった。

もはや、物事にいちいち驚いて、混乱する小娘ではなくなっていた。

報告書はすでに彼女によって破り捨てられた。破っていなくても、その文字は大雨によってぼやけて、紙自体が壊れていた。

だから、見つけても何も読み取れるはずがない。

そう分析した後、霧島弥生は完全に冷静になった。

宮崎瑛介の唇が微かに曲がった。

彼は彼女の前に座り、二人の視線は等しい高さになった。

彼らは幼馴染で、こんなに長くそばにいるので、宮崎瑛介は彼女のこの2年間の変化を知らないわけがない。

最初に彼女を会社に来させた時も、この先彼女が成長し、一人で立ち向かうことができるようにと宮崎瑛介は願っていた。

そして、この2年間の時間で、彼女は確かにそれを達成した。

完璧なアシスタントになった。

彼女は100人以上の会議でも冷静にスピーチできるし、ましてや彼に直面することなどいうまでもない。

これを考えると、宮崎瑛介は目を細めた。

「わからない?君のことをわかっていないと思ってるのか?」

霧島弥生は彼の視線に恐れずに向かった。

「そう?私のことを本当にわかっているの?」

次の瞬間、彼の手が回って、彼女の首の後ろをつかみ、額も近づけて、二人の熱い息が絡み合った。

宮崎瑛介の歯の間から一言が漏れた。

「20年以上も知り合って、2年も同じベッドで眠っていた。霧島弥生、もし私が君のことをわかっていないのなら、誰が君のことを理解しているというんだ?」

霧島弥生は動揺した。

知り合ってからもうそんなに長い時間が経ったのか?

彼女のことをわかっていると彼は称している。しかし……彼女が彼のことが好きであることを、彼は一度も気づいたことはなかった。

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